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2024年度 研究会

 本研究会は、各々の現場で実践している「ありふれた臨床」を語るための言葉を作り出すことを目的としています。身体的には宿っている臨床の知を、言葉にすること。それは臨床を力強くします。自分が何をしているのかが明晰になることは、専門家としての私たちを支えてくれます。それだけではありません。臨床の知が言葉になると、それを他者に伝えることができるようになります。心理職同士はもちろん、他職種の同僚、地域のステークホルダー、そして社会へと言葉は伝播していきます。それが書籍や論文という形をとることもあるでしょう。

 本研究会では、最初に社会的視点を導入したありふれた臨床のための理論、研究法、技法を講義によって示します。講義は、これまでの研究会の成果を盛り込み、アップデートされた新作になります(注:2023年度講義3回分は、参加者の方にはアーカイブを解放いたします。これまで参加されていない方でもそちらをご覧いただければ参加しやすいでしょうし、継続参加の方も生活に合わせて復習していただけます)。

 人類学と社会学の視点を取り入れた「社会論的転回」を基盤に、『ふつうの相談』で示された「現場知・専門知・世間知」からなる「球体の臨床学」を論じることで、現場中心の臨床心理学を構築します。それは、私たち心理職が「つながりの専門家」である、と自己規定を更新し、自身の仕事の意義を認識することを可能にするでしょう。

 さらには、従来の臨床心理学では扱うことが難しかった、行政における心理職、管理職としての心理職、政治と心理職、といった問題系を考えることを通じて、「心を可能にする仕事」を臨床心理学の中に定位します。これにより、従来心理職の仕事として見なされやすかった――しかし近年では「贅沢な悩み」言われてしまいがちな――「心を自由にする仕事」の意義の再発見も可能にすることも目論んでいます。

 

 こうした道具を得て、津々浦々で実施されている「ありふれた臨床」の社会的な文脈・意義を明らかにし、参加者が新しい言葉を作りだすことができればと思います。この点で、本研究会は、一般的な研修会で行われているような、実践の改善や修正をではなく、既に行っている実践を異なる視座から照らし直し、新たな「問い」を生み出すことを目標としています。

 

 加えて、本研究会では、そのような学問的目標だけでなく、それを下支えするコミュニティ機能の提供も目指しています。心理職の仕事はなかなか目に見えて数値化できるような結果を生み出すことはできません。すると、「自分のやっていることは本当に意味があるのだろうか」という思いをいだくことも稀ではないでしょう。

そうした状況を、ひとりで生き延びることは難しいものです。仕事の意義を他者から認められ、承認されることがぜひとも必要です。しかし、実際には心理職は横のつながりに乏しく、孤立しがちであるという現状があります。

 各回後のアフタートーク、オープンセミナー(とその後の懇親会)やLINEを用いたグループチャットなどで、そうしたつながりのプラットフォームになれればと思っています。

 

以下のような参加者を募集します。

  • 「ありふれた臨床」に日々従事されていて、その意義を言語化したい方

  • 「ありふれた臨床」を日々模索しておられる方

  • 「ありふれた臨床」の価値を問い直し、世間に向けてゆくゆくは発信してゆきたいと考えられている方々

*前年度の講義をアーカイブでご視聴いただけますし、今年度からの参加でも十分に内容についていけるようなスケジュールになっています。実験的な研究会ではありますが、ぜひご参加ください。

○研究会の開催形式

・zoomを使ったオンライン形式(8月と12月はお休み)

・毎月第4金曜日20時~22時開催

・年間計10回開催(講義3回+臨床研究5回+オープンセミナー1回+ふりかえり1回)

 *講義回は見逃し配信いたします。オープンセミナーもその予定です。

*2022年度の講義3回分は、研究会期間中、アーカイブ解放いたします。
 

○スケジュール予定

  • 4/26 講義① 序論:ありふれた臨床とは何か

  • 5/24 講義② 理論篇:臨床心理学の社会論的転回

  • 6/28 講義③ 臨床篇:心を可能にする仕事、心を自由にする仕事

  • 7/26 臨床研究

  • 9/27 臨床研究

  • 10/25 臨床研究

  • 11/22 臨床研究

  • 1/24 臨床研究

  • 2/23 (祝) オープンセミナー「今、心の専門家の専門性とは何か」(昼から夕方にかけてハイブリッドで開催。原宿カウンセリングセンター顧問 信田さよ子氏をお招きします)

  • 3/28  ふりかえり


○参加資格

「臨床心理士」もしくは「公認心理師」の資格保有者、あるいは臨床心理学系大学院に在学中か卒業後すぐの人で守秘義務を守れる方

*臨床現場や実践内容は問いません。様々な現場で活動されている方、様々な実践を行っている心理士を歓迎します

*臨床心理士指定大学院で習得する知識を前提とした研究会となりますので、ご承知おきください

*臨床研究の発表者を募集します(薄謝ですが、謝金をお支払い致します)

○応募方法(締め切りました)

以下のフォームよりお申し込みください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe5C9lcPRNp5NOE1ekiINg47QU-c7yqM2WqpT_iPDrHra5OuA/viewform

○参加費

25,000円(全10回分、一括払いのみ) *2022, 2023年度に参加されていた方は20,000円

振り込み方法は、参加資格を確認し次第ご案内致します。一度納入された参加費は原則お返しできません

 

○締め切り

2024年3月31日

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